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長崎県長崎市「吉宗(よっそう)」

「長崎の郷土料理には『卓袱(しっぽく)料理』というものがあります。中華料理のように赤くて丸いテーブルにご馳走が並びます。卓袱料理にはね…中国と…豚の角煮とかね…」

こんな話を聞いたのはもうかれこれ数十年前…。当時中学3年生。長崎で研修があり、バスガイドさんや現地のコーディネーターさんから何度もこの「卓袱料理」という言葉を聞きました。なぜかこの「卓袱料理」という言葉にものすごく惹かれ、帰る頃には憧れさえ抱いていました。何度目かの食事のときに、ホテルの宴会場のような、赤くて丸いテーブルが並んでいる場所で昼食をとりました。赤くて丸いテーブルを見たことがなかった私は、「今日は、卓袱料理ですか!!??」と鼻息荒くコーディネーターさんに質問。すると笑いながら「うふふ。今日は卓袱料理じゃなくて、長崎の名物「皿うどん」と「豚の角煮」ですよ。卓袱料理に負けないくらいおいしいからね♪」と。少し残念でしたが、とてもおいしかったのでこれはこれでよい思い出。

さて、前置きが長くなりましたが。

なぜ、あの時、大人たちが卓袱料理の話をするのに食べさせてくれないのか、不思議でした。卓袱料理に使う食器の話や、ご馳走の話、卓袱料理の歴史などなど…。私たちは移動中などに卓袱料理の知識をどんどん詰め込まれ、引っ張るだけ引っ張って最終日には出てきちゃうんでしょ?くらい思ってました。しかし、最終日も皿うどんでした。

その理由がつい最近、わかりました。

高いのです。とても高級。

先日、お友達に会いに長崎へ行きました。せっかく行くんだから卓袱料理は外せないな、と思い下調べして値段にビックリ。卓袱料理は、フランス料理のフルコースに匹敵するぐらい高価な食事でした。店構えからしても、気軽に腹ごしらえするような感じではなく、何か特別な日に、予約をして少し背筋を伸ばして行く、それが卓袱料理だと、このときに知ったのです。大人たちがなぜ卓袱料理の話をあんなにしたのか。今ならなんとなくわかります。なかなか手の届かない料理だから、大人たちも憧れてていたのかな~と。そしてそんな食文化があることを誇りに思っていたのだと思います。日本各地に数えきれないほど郷土料理がありますが、卓袱料理のように器や卓まで整えられた料理というのは、とても稀有な存在だと思います。

で、で…結局どうしたかというと

友人プレゼンツ「長崎に行くなら食べないと」ということで「茶碗蒸し」のお店を案内してもらいました。え?茶碗蒸しの専門店とかどういうこと?茶碗蒸しって脇役というかお吸い物替わり的なポジションじゃないのか、と。こんな風に言ってますが、最後の晩餐に並べたいほど茶碗蒸し好きです。大好きです。というわけでいってきました長崎の名店「吉宗(よっそう)」。

商店街を横に抜けると時代を感じさせる建物が。ここが長崎が誇る創業150年「吉宗」です。
場合によっては大行列ができているという話でしたが、このときは数組待つ程度。

席に着くまで30分くらいでした。

そして、注文したのは「茶碗蒸し定食」。

茶碗蒸しは茶碗蒸しでしかないだろう、と思っていたのですが、ものすごいふるっふるで、具のひとつひとつが味わい深く、こんなに大きなお茶碗に入っているのに難なくいただけました。さすが…創業150年のお店は格が違う…。茶碗蒸しをメインに出してるお店って日本全国そんなにないと思います。メジャーだけどメインにするには難しい料理で、また個性を出すのも難しいのではないでしょうか。そんな茶碗蒸しを売りに150年。頭が下がりました。

茶碗蒸しと共に愛されている「蒸し寿司」も本当においしかった。見た目的に「まぁ、ちらし寿司の甘い部分の丼だろう」という大変失礼な先入観のもと実食。見事にその偏見は打ち破られました。まず、のってる魚のそぼろがとても美味しい。ギリギリ魚だと分かる絶妙な食感。少し甘辛い味付けながらスッキリとしていて、箸がすすむすすむ。一緒に載っている鯛でんぶも素晴らしかった!「そうだ、これ、このピンクの…『ピンクの粉』って呼んでたけど、そうだ、鯛でんぶ、だ。鯛だ…。」という真理を思い出させてくれました。それぐらい鯛のうま味が濃かったのです。

ここは、ガイドブックで見たことあったのですが、敷居が高そうで躊躇してましたが、友人のおかげで行けました。

次の日…

今度は、茶碗蒸し目当てではなく、卓袱料理を食べに吉宗へ。2日連続の吉宗です。

ここでやっと前半の話とつながるわけですが、写真をほとんど撮っておらず、食べかけが写ってしまっているので泣く泣く割愛。こちらの卓袱料理はリーズナブルで予約もいらないので、気軽に卓袱料理を楽しむことができます。こんな形で夢がかなうとは!印象に残っている料理は「フカ」。フカヒレのフカです。サメです。白身だと思って食べたら、経験したことのない食感だったので質問したら教えてもらえました。北海道ではまずお目にかかれない食材なので得した気分。

ほかの料理の写真は撮ってないのに、茶碗蒸しの写真はしっかり撮る不思議。定食より小さめの器に入った茶碗蒸しと蒸し寿司。

これでもまだ足りず、お店で食事をしたあと、商店街側にある贈答用のお店で、自宅用「茶碗蒸し定食」セットを購入。今後頻繁にお取り寄せすることになりそうです。

→ 「吉宗(よっそう)」お取り寄せ編

 

 

「吉宗(よっそう)」
長崎県長崎市浜町8-9
095-821-0001
11:00~21:00 定休日/第2火曜日・1月1日

ビスコッティ(カントゥッチ Cantucci)

茶碗蒸し「吉宗」~お取り寄せ編~

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